親の老後破産を防ぐためにできる4つのサポート
親の老後を安心して過ごしてもらうためには、私たち子世代ができることもたくさんあります。
昨今、老後破産が社会問題として注目されており、年金や退職金だけでは生活費をまかなえず、貯金が尽きてしまうケースも増えています。そんな中、親の家計をしっかりサポートすることは、子世代として重要な役割です。
この記事では、親世代の老後破産を防ぐために、子世代ができる5つの具体的なサポート方法を紹介します。
親子で無理なく進められるサポートを通じて、親世代が安心して老後を過ごせるようにしましょう。
1. 家計簿の導入支援
この記事を読むユーザーの親はおそらく、家計簿をつける習慣がなかったり、現役時代の収入に頼り切っていたため、家計管理に不慣れなことが多いのではないかと推察します。
年金生活に入ると収入が限られるため、支出を管理することが非常に重要になります。まずは、家計簿を使って家計の収支を把握するお手伝いをしましょう。
家計簿アプリを利用して簡単に管理
家計簿をつけることが面倒に感じる親世代も、スマホで使える家計簿アプリを活用することで、簡単に収支を把握できます。現金やカードの支出を自動的に入力してくれるアプリも多く、入力の手間を大幅に省けます。
特に「マネーフォワードME」や「Zaim」などの家計簿アプリは、親しみやすい操作画面で、初めてでも扱いやすいです。
アプリの使い方を一緒に確認し、初期設定を一緒に行うことで、親が家計管理に慣れるためのサポートができます。
例えば、最初の1ヶ月はどの項目にいくら使っているのかを見える化し、必要に応じて予算を立て直すことで、無駄な支出を減らせます。
毎月の支出の内訳を見直す
家計簿をつけることで、毎月どこにお金がかかっているかが明確になります。
特に固定費の見直しは、節約効果が高い部分です。
前項で紹介したような家計簿アプリで毎月の支出を確認し、例えば通信費や保険料が適正かどうかを一緒にチェックしましょう。
2. 保険の見直しサポート
保険料は老後の固定費の中でも大きな負担になることが多く、適切な見直しを行うことで家計を大幅に軽減できます。
親世代は若い頃に加入した保険を見直さないまま支払い続けていることがあるため、必要に応じて保障内容を減らしたり、解約を検討することも選択肢の一つです。
必要な保障内容を確認
親の年齢や生活状況に合った保障内容かを見直しましょう。
特に、高齢になると医療保険やがん保険など、保障が偏ったものに重複して入っているケースもあります。
親がすでに健康保険や国民健康保険に加入している場合、医療費はある程度カバーされるため、過剰な保障がかえって無駄な支出になる可能性もあります。
解約や見直し時の注意点
保険を見直す際には、必ず保障内容と解約時のペナルティを確認してください。
解約時には返戻金が発生する場合もありますが、同時に解約手数料がかかる場合もあります。
こうした注意点をしっかり親と確認しながら進めることが重要です。
また、現在の保障内容が不要と判断できた場合でも、保険の見直しは慎重に行う必要があります。
例えば、医療費の補填が確保されているか、他に家計を圧迫する費用がないかも考慮しながら、家計の負担を軽減できるようにサポートしましょう。
3. 住まいについて相談する
親の生活環境が今後どのように変わるかは予測がつきません。
特に、高齢になると住環境が健康や生活の質に大きな影響を与えるため、将来の住まいについても考えるのも良いかもしれません。
親が希望する生活スタイルの確認
将来的な住まいの選択肢としては、今の家で住み続けるのか、施設に移るのか、子供と一緒に住むのかなどさまざまです。
まずは親の希望を確認し、どのような生活スタイルが理想なのかを理解しましょう。
親が「できれば自宅で暮らしたい」と考えている場合、バリアフリー化や住宅リフォームが必要かも視野に入れます。自宅介護が必要になったときなども考慮し、予算と生活の質を考慮しながら、親が安心して過ごせる住まいをサポートしたいですね。
老後の住居費はいくら? 早めの準備で理想の老後ライフを
シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ
著者: LIFULL HOME’S 不動産投資編集部引用元:LIFULL HOMES
施設入居の選択肢を考える
体調や介護が必要になった場合、施設に移る選択肢も考えなければなりません。
施設入居は、費用やサービス内容が幅広いため、親が望むケアレベルに合わせて選択することが大切です。
費用面も家計に大きく影響するため、事前に予算を確認しておくと安心です。
4. 行政支援の手続きをサポートする
親が年金や貯蓄だけでは生活費をまかないきれず、経済的に困難な状況にある場合、行政が提供する支援制度を利用することで老後破産のリスクを軽減できます。
生活保護や福祉サービスをはじめ、各種の公的支援は高齢者にとって重要なサポート手段です。
生活保護の申請手続きサポート
生活保護は、収入や資産が不足している人に対して、基本的な生活を支援するための制度です。
高齢者の収入が年金のみで生活が成り立たない場合、生活保護の申請が可能です。
親が経済的に苦しい状況であれば、生活保護を検討するのもひとつの選択肢です。
生活保護の申請には、収入や資産状況を証明する書類が必要です。
具体的には、年金受給証明書、資産の有無(預金通帳や不動産の有無)などが求められます。
これらの書類を整えるために、親と一緒に手続きを確認し、必要な情報を揃えるサポートをしましょう。
生活保護は、役所の福祉課で申請できますが、高齢者にとっては申請手続きが複雑に感じられることも少なくありません。
申請に対する心理的な抵抗を感じることもあるため、親に安心感を与えることもサポートの一環です。
また、親と一緒に役所へ足を運び、福祉担当の職員と話す場に同席することで、不明点をスムーズに解消できます。
高齢者向け福祉サービスの利用サポート
高齢者向けの福祉サービスには、住宅支援、医療費補助、介護サービスの費用軽減など、生活の質を維持するためのサポートが含まれます。
特に、親が医療費や介護費用の負担に苦しんでいる場合は、福祉サービスを利用することで経済的な負担を軽減できます。
市区町村では、高齢者が医療費や介護サービスを受ける際に一部費用が免除される制度があるため、親の状況に合わせて福祉サービスを確認することが重要です。
特に、医療費負担が大きい場合、医療費控除や医療費助成制度の利用で負担を減らせる可能性があります。
住まいが賃貸である場合には、住宅扶助を受けられるケースもあります。
福祉サービスを利用するためには、役所で相談窓口を訪れるか、電話やインターネットでの事前確認を行うと良いでしょう。
親が制度について知識がなかったり、問い合わせが難しい場合は、子世代が代わりに確認し、適切な支援を案内することでスムーズに手続きが進みます。
老齢基礎年金の再確認と手続きのサポート
年金が基本的な収入源となる親世代にとって、老齢基礎年金や老齢厚生年金の確認は非常に重要です。
年金受給額の少ない親がいる場合、過去の受給資格を再確認し、未払い分がないかをチェックすることで、支給額を増やすことができる可能性があります。
年金の確認や手続きは、年金事務所で行うことができますが、申請手続きに不慣れな高齢者が一人で行うのは難しい場合があります。
親と一緒に年金事務所を訪れ、職員のアドバイスをもとに、未払い分や過去の保険料支払い状況の確認を進めることで、親の年金受給額を正しく把握することができます。
社会福祉協議会の貸付制度を活用する
緊急の支出が必要となった場合、地域の社会福祉協議会が提供する貸付制度を活用することも選択肢です。
例えば、低所得高齢者のための生活支援資金貸付制度などは、低金利で借り入れが可能なため、家計が厳しい場合の一時的な資金調達手段となります。
福祉の貸付制度
国・地方公共団体等における公的資金の貸付には、低所得者や高齢者・障害者の生活を経済的に支えるための貸付制度や、人材確保・自立支援援助等のための貸付制度があり、その多くは都道府県社会福祉協議会が事業を受託しています。各貸付事業に関するお問い合わせは、貸付の要件や実施の有無をご確認のうえ、お住まいの市区町村社協、または都道府県社協にお寄せください。
引用元:全国社会福祉協議会
貸付制度の利用には、収入状況や借入額に応じた審査がありますが、通常の金融機関のローンよりも低い利率で、返済の負担が少ないのが特徴です。
社会福祉協議会の相談窓口に足を運び、親とともに必要な書類を揃えて手続きすることで、負担を軽減できる場合もあります。
まとめ:親世代の老後破産を防ぐために、今からできることを始めよう
親世代の老後破産を防ぐためには、家計管理や保険の見直し、住環境の整備、そして行政支援の活用といった多方面からのサポートが必要です。
親が老後を安心して過ごせるよう、子世代が積極的に関与し、具体的な行動を起こすことが大切です。
特に、家計簿を導入する支援や保険の見直しは、すぐにでも取り組める実践的なステップです。
また、親との会話を通じて住まいについて早めに話し合い、行政支援や福祉サービスを利用することで、親が経済的な不安を抱えることなく安心して暮らせる環境を整えることができます。
子世代として親を支える役割は大きな責任ですが、しっかりとしたサポートを通じて親と共に計画を立て、必要な手続きを進めることで、老後破産のリスクを効果的に減らせます。
早めの対策と行動が、親世代の未来を明るくし、家族全体の安心感につながるでしょう。
今からできることを一つずつ始め、親の老後を支えるための準備を進めていきましょう。